新着情報

応援団の方による、新刊案内です☆

曽田文庫の新刊案内,海外ミステリーです.

ジョン・ル・カレ「われらが背きし者」(岩波書店,2012)

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日本は「外国のスパイ」が「入り込みにくい」土地柄というか,周りが毛色や肌が同じ日本人という中では見分けられ易い。

だからそういう人物が活躍する舞台設定が難しい(これは私の想像だが)せいか,「スパイ小説」のジャンルは見当たらない,敢えて言えば,船戸与一,佐々木譲などにそういうものがあるものの,大抵そのヒーローたちが行動するのは海外だからなあ.

現実にありえないからこそ,縦横無尽に働きを見せる無法の男ジェームズ・ボンドなどに憧れる.

ただ本書はスパイ小説というにはさほど息をのむアクションは少ない,というより登場人物の性格・心理描写が素晴らしい.

ミステリィと言えば,早川書房が一般的なのに,岩波書店がこういう類いを出版したことも頷ける.

物語が過去の出来事と現在とを同時進行する設定が反って緊張感を持続するのに役立っている.読み出したらはまる,と言って良い.

 ル・カレといえば約30年前に読んだ「寒い国から帰って来たスパイ」(ハヤカワ文庫)があるが,その舞台は第2次世界大戦後であり,スパイが司書に化けカード目録に触れる,古き時代の図書館の様子が克明に描かれていたことを思いだした.

 ル・カレはずっと昔の作家だと思い込んでいたが,まだ存命であるとは思いもよらなかったこと.

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