新刊紹介-日本の図書館の未来を占う一冊-

 図書館の未来を考えるには格好の本が出ました.イタリアの女性図書館人アントネッラ・アンニョリ著「知の広場」(2011,みすず書房)です.

 実は本年3月に奥出雲町で図書館創設運動の中心「ポケット」の皆さんの第4回「Book Cafe Okuizumo」に参加して知り得た一冊です.
 ここで言う「広場」とはお分かりの通り「図書館」です.著者は市民が集い交流する「場」として最も重要なのが「図書館」ではないかと言います.なのにイタリアの図書館はとても「閉鎖的」で,だれでも気軽に出入りできる雰囲気にない,つまりコミュニケーションの「場」ではないと批判しています.
 第一に指摘するのが入館手続きの厳しさですが,実際にイタリアの図書館を訪問すると,確かに思い知らされる事実なのです.それと全く対照的に日本の図書館は極めて「開放的」だといえます.これは「資料を保存するのが使命」であり,歴史(文化)を大切にするイタリア人の面目躍如たるところでもあります.
 一方日本の図書館は利用者大事で「本(資料)の貸出し」を優先しています.これは両国の「文化」の違いであり,どちらが良いのかという答えでは片付けられないものがあります.

 本書は新しい取り組みを始めたイタリアの少数図書館や北欧諸国の「ハイブリッド」図書館を様々に紹介しており,それはこれまで抱いていた図書館のイメージを木っ端みじんに砕いてくれるでしょう.つまり「与えられる」のを当然と思っている日本の図書館を,むしろ「利用者参加型」に向かうよう示唆しているように思えます.
 正しくその考えが奥出雲町の「ポケット」の皆さんや「曽田篤一郎文庫」の方向性にあるように,私には思えるのです.

 9日(土)の午後には曽田文庫に持って参りますのでご一読ください.

宍道 勉

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